路地広場 の つくりかた

ROJI-JI の 広場

G.まちなみイラストの描き方 

     『伝える力』 を 身につける

        まちなみを計画する際、設計者自身のイメージを膨らませ、
        関係者にそれを伝え、皆で夢を語り合うとき、ベースとなる
        計画案やスケッチ類は、最終版のきれいなものでなくてよい
        と思います。
        むしろ、大事なポイントが、より明確に強調されるようなもの
        で良いわけです。
        ROJIの「まちなみイラストの描き方」では、そういう場合に
        イメージを伝えるスケッチをどうやってタイミングよく描くか、
        いわば『伝える力』をいかにつけるかを主眼に見てください。

 1.イメージスケッチの種類

     スケッチは、必ずしも立体的である必要はありません。

     立面に寸法を記入したスケッチもあります。
     断面にすると、空気の流れや、視線の向きが一目でわかります。
     平面スケッチでは、周りとの関連性が良くわかります。

     多方向から検討を加え、設計者のイメージを膨らませて、
     それをタイミングよく伝えるために、
     最適の表現方法、見せ方を選びます。









まちなみスケッチでは、
綺麗でリアルなものを描こうと思う必要は、ありません。

それよりも、 素早く的確に、
イメージが把握できる描き方で、伝えられれば、好いのでは。

ROJIが、まちなみスケッチを描く際には、
いつもこんなことを意識しながら書いています。
そのことを要約すると・・・、





            このようなことに注意して、スケッチすればどうでしょう。

 

 2.樹木の描き方

     まちなみに樹木が欠かせないのと同様に、印象的なまちなみスケッチにも、
     樹木の描き込みが、欠かせません。
     ただし、樹木の絵が突出してしまうと、まちなみスケッチは見難くなります。
     スケッチ時に平面的、立面的、あるいは立体的なやり方で、簡単に描き分け
     られるように練習してください。
     
     樹木のスケッチは、リアルなものでなくても良いのですが、針葉樹、広葉樹の
     樹形の違い、あるいは、葉を着けた状態と裸形の状態の描き分け程度は、
     押さえておきたいものです。 もっとも確実なやり方は、庭でも、街路でも、
     または公園でもよいのですが、実際に樹形をよく観察して、自分なりの
     描き方のパターンを身につけてください。
     





● 密生した枝葉の木や、軽快な枝ぶりの木を描き分けてみます。
寄せ植えの木や、株立ちの場合も、実物をよく観察して練習してください。
枝分かれの仕方や、枝の付き方を押さえると、葉が無くても樹種が想像できませんか?
葉の付き方は、丸っこくもこもこ、か、つんつんとして隙間から枝先が見えてるか、
いずれにしろ、陰影を意識して描きこんでください。
幹が地面と接する足元の草の影を表現すると、樹勢が安定します。

それから、着色する場合は、太陽光の向きを意識してください。
日が当たるところは白抜きのままで、反対面の葉陰や地面は強調したい濃い色を
加えると、立体感ができます。
着色の際は、できるだけ余白を残したままで!
色の付け過ぎに注意してください。  

また、緑系のみで着色された樹木だけでは、立体感が無く、メリハリもありません。
花の美しい木や、紅葉がアクセントになる樹木は、季節感を無視してでも、
ピンク系やイエロー系のアクセント色を入れてしまいましょう。
*着色図に加えた記号は、後述のCOPICマーカーの色番号です






●メインの樹木だけでなく、背景木を描き加えると、スケッチに立体感ができます。
但し、輪郭も色彩も、最小限に止めないと逆効果になりますから注意してください。

背景木を薄くあっさりと塗るのは、空気遠近法の応用です。
こうすることで、スケッチに奥行きが感じられます。

幹の並びが面白い落葉樹の林や、屋根の向こうに見える針葉樹の森のシルエットなど、
効果的に盛り込んでみてください。




●イメージスケッチを描く時、灌木や地被類は欠かせません。
  建物や門柱などの工作物、樹木の足元やバックに、ちょっと描きこむだけで、
  スケッチは思いのほか豊かになります。
  灌木や低木の着色には、陰影の強調や、季節の花の色のアクセントを忘れずに。  





●まちなみスケッチでは、主木も背景木も灌木も、単独では使いません。
  工作物との組み合わせで、様々な表現が可能です。
  一番強調したいもの(工作物であれ、樹木であれ )をメインにし、
  あとは、あっさりと仕上げましょう。
  着色する際は、べったりと塗りすぎることは禁物です。







●近景から遠景まで、意識的に書き込むと、空気感がにじみ出て、いい感じになります。
また、少し丁寧に描きこみを追加することで、プレゼンテーションにも十分対応可能です。










 3.イメージスケッチの着色

    まちなみスケッチに着色する場合は、実際の色彩を本物らしく映すことよりも、
設計者のイメージにある外構素材や樹木が、他のものとはっきりと識別できるように、
描き分けることを心掛けたらよいと思います。
ある意味、この場合の色彩は、素材を認識する記号のようなものだと言えるでしょう。

また、イメージスケッチは、設計者のイメージを具体化し、迅速に人に伝えるものです
から、素早く、簡単に着色できるような道具を用意しておきましょう。
ROJIでは、COPICマーカーや、GONDOLA印のソフトパステル、それと色鉛筆を
主に使用しています。いろいろ試して、しっくりいくものを見つけておいてください。

さらに、最小限の色彩カラーコードを作っておけば、着色にも迷わず描き進めることが
できます。思いついたことをすぐに描くことが大事です。
正式なプレゼンテーションの場合は、ペンで描いた手描きのスケッチを、透明水彩絵具
で部分的に着色すると、絵に深みが出ます。

パソコンに取り込んだ画像をPhotoshop等で着色するのも、意外性があり効果的です。




・手描きのスケッチをパソコンに取り込み、Photoshopで着色した例
・手描きのスケッチをパソコンに取り込み、Photoshopで着色した例


 ペン画によるイメージスケッチ

・空気感や雰囲気を伝えるのに、無彩色かアクセントカラーだけの丁寧に描いたペン画も
味のあるものです。
この場合、着色用下絵よりは強調線や陰影に注意して、丁寧に描き込むのが良いでしょう。

また、着色で変化をつけることができない分、人物のシルエットや車、テント、テーブルなど
のストリートファニチャーを効果的に配し、物語性が感じられるともっと面白くなります。







まちなみスケッチのやり方に、決まった方法はありません。
 
素早くイメージを固め、
スタッフやユーザーとイメージの共有ができ、
皆で夢を膨らませるきっかけを作ることが、
肝心です。

だから、計画者自身がスケッチの中に入り込んでしまえるような物語性があると、
ずっと楽しいものになります。
 
自分流のスケッチの仕方を、身につけられたらと思います。
 

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