C‐2.子供たちの原風景づくり・・・龍ヶ崎ぬく森の里の場合-2
龍ヶ崎ぬく森の里
2009年
自然を活かした20戸の集落
・建物 :ミサワホーム
・敷地規模 :150坪〜250坪
・公園、道路:移管
・緑道 :共有地
・まちづくり規制
地区整備計画
まちなみガイドライン
原風景づくり : 「子供たちに残したい原風景」・・・グランドデザインのポイント
「ぬく森の里」は龍ヶ崎ニュータウンのはずれにある林に囲まれた小さなコミュニティですが、利便性の良い場所ながら自然の風景にも恵まれたところで子供たちを伸び伸びと育てられる町を作る、というコンセプトのもとに開発されました。
まちは、なだらかに起伏した芝生が広がり、豊かな樹木や四季の草花が周辺の林と融けあって全体が公園のような美しい風景を見せています。
ここには、造成工事の時から、周囲の自然景観に合わせて里山に似合う4〜6mの株立ちの木が100本以上植栽されています。新緑や紅葉の美しいイタヤカエデ、ヤマザクラ、アズキナシ、ヤマボウシ、ナツツバキ、アオダモ、等の樹木。常緑樹のソヨゴ、カラタネオガタマ、シラカシ。香りのよいキンモクセイ、ユズ、等の木も彩りを添えてくれます。
これらの植樹と周囲の林とが夏の涼やかな微風を作り、冬は季節風を緩和してくれます。
宅地は自然地形に合わせて平均が170坪の広い敷地です。道路との高低差は1/4程度の勾配の緩やかな芝生のスロープとして、土留めも自然石積みだけとしています。隣地との境も擁壁のない斜面で、ここにも自然石の栗石を使った浸透しやすい排水溝がとられています。門柱、門壁や駐車場の石畳は建築に先立って自然石で作られています。鋳鉄のポストやサインポールも先にできました。庭では家庭菜園も楽しめるように畑の土を入れています。季節ごとに道路沿いの草花が楽しみです。
・左:入口の公園も
自然勾配の築山に。
・右:住宅地のアプローチは、
自然石積み門柱と鋳物
のポストで共通化。
まちの入口には、道路の両袖に自然石積みのゲートと株立ちの立派なシンボルツリーでプライベート空間を意識させ、メインゲートに接する公園も周囲の斜面地形と一体化した芝生のしつらえにすることができました。
まちの中央には自然にできた踏み分け路のように、ゆるやかにカーブする道があります。歩くにつれてまちの景色が変化していきます。その道を幅員7mの幹線道路として、幅員6mの枝道が四方に伸びていきます。この短い枝道は安全なクルドサック道路で、緑道と共に子供に安心な遊び場として、プライベート感覚の強い路地広場を作っています。
道の両側はほどよく統一された家なみで、住宅は伸びやかに配置されています。電柱の目立たない道では、広がりのある空がいつも身近に感じられます。
まちの入り口部分はもちろん、クルドサック道路や緑道との交差点にはインターロッキング張りのイメージハンプが設けられ、ドライバーに安全運転をうながします。また、宅地ごとの駐車場前面には、ゲスト用カースペースにもなる前庭もあり安心です
クルドサック道路と緑道の路地広場は透水性のインターロッキングで舗装され、周囲に植樹された木々に包まれて自然石の腰掛も楽しげな雰囲気を醸し出しています。
・左:緩やかなクレセントカーブの道路。
交差点にはイメージハンプ。
・右:自然石張りのカーポート
の周りは数本の先行樹木と
四季の草花を植栽。
何より目指したのは、この20戸のまちが、緩やかで居心地好いコミュニティづくりが継続するシステム作りでした。
元々、地形の特徴からライフスタイルと家族に合わせた4つのゾーニングのコミュニティを計画していました。森の中のような敷地で趣味に没頭できるフォレストライフゾーン。路地広場が子供たちの安全な遊び場になるファミリーライフゾーン。平坦な区画で、将来のバリアフリー化に対応したシニアライフゾーンもあります。アクティブライフゾーンは活発なアウトドアライフの活動の拠点に向いた区画になります。
こうした世代も嗜好も違う人々が一時に住み集まり、将来にわたっても良好なコミュニティを保っていくことは相当なエネルギーを必要とします。
そこで、維持管理組合を設立していただき、住民同士の約束事を決めていく上でのたたき台として「まちなみガイドライン」を設定しました。宅地や建築に関する規定のほか、共有地の緑道はじめ、公共部分の道路や公園まで係わる規約になっています。
ただし、このガイドラインは、景観と環境を将来に渡り良好な状態で子供たちに引き継ぐためのものですから、内容は時代と共に変化させていくことは必要です。が、その場合でもあくまでまちづくりコンセプトの趣旨を活かしたものとすることが大事だと認識していただいています。
・子供が伸び伸びと遊べる家
・野鳥を観察できる家
・星空を眺められる家
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